菅内閣は、10月上旬にASEM(アジア欧州会議)に中国語専門の通訳を連れて行かず、外交無策を露呈した。この黒幕は外務省だ。アジア大洋州局の北野充・審議官は「実現することがわかっていたら通訳を準備した」と説明したが、外務省関係者は「首脳会談はすべて官邸主導で外務省は蚊帳の外に置かれた。“ならば協力してやる必要はない”というのが本音だ」と明かす。
そうしたサボタージュ外交官に活を入れる役割は前原誠司・外相のはずだが、前原氏もこれを黙認していたフシがある。
「仙谷官房長官から、“菅とオレ以外は尖閣漁船問題で発言するな”と指示されたことにヘソを曲げた。官邸は前原大臣が対中強硬路線を言い出すのを抑えるつもりだったが、大臣は自分が邪魔者にされたと受け止めている」(日中問題に詳しいジャーナリスト・山村明義氏)
※週刊ポスト2010年10月22日号