上海や広東省の深センなど、日本人駐在員が多い大都市の歓楽街が「売春天国」と化している実態がある。これらの街には、KTV(カラオケ店)やサウナと呼ばれる風俗店が数多く存在する。
たとえばKTVでは、一般的に200 -300 元(1 元=約12円)の入場料を払う。入場後に紹介される「小姐」と呼ばれるホステスたちの中から気に入った女性を選び、300 元程度を指名料として支払う。店の多くが「お触り自由」。さらに700-800元程度のチップを支払えば、店外、さらにはホテルへと連れ出すことができる。600-800元という価格帯が多いサウナでも、個室で性的なサービスを受けられ、「本番サウナ」として知られる店舗も少なくない。中国の実態に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏の話。
「ほとんどの風俗店は公安当局とつながっていて、賄賂を渡して商売を続けている。しかし、今年6月頃から、突如として締め付けが厳しくなった。当局が“掃黄”と呼ばれる売春一掃キャンペーンを始めたんです。その直後から、関係者の間で“聖域”といわれていた北京にある2つの超高級売春カラオケ店が摘発されるなど、“見せしめ”が続いています。日本人がその網にかかってしまうケースが増えている」
さらに現地取材を進めていくと、「日本人狩り」といっても過言ではない事態が起こっていた。深セン付近の風俗事情に詳しい30代の日本人駐在員がいう。
「どうやら、本番サウナ店が日本人の顧客情報を警察に売っているらしいんです。“日本人を差し出すから、ウチの店に便宜を図ってくれ”という意味らしい。商売が厳しくなって、同業者同士の密告合戦も激化しているようだ。羽振りのいい日本人駐在員はかつては“王様”ともてはやされたものだが、反日気運の高まりもあって今や“奴隷”扱い。日本人を狙った美人局被害も増えている」
※週刊ポスト2010年10月22日号