10月4日、東京第五検察審査会は、小沢一郎・民主党元代表に対し、「起訴相当」と議決した。
ただ、国民が最も知りたいのは「小沢氏は違法行為をしたのか」だ。テレビの街頭インタビューでは、「起訴は当然」という声が多いが、それは、大新聞やテレビが「小沢はクロ」と印象操作を繰り返した結果だ。
大事なのは事実である。今回の「起訴相当」のポイントを整理しておく。
【1】問題は「期ずれ」だけ
法廷で問われる「容疑」は、「土地取得が2004年だったのに2005年の報告書に書いた」という「期ずれ」問題である。マスコミが多用する「資金疑惑」や「不正蓄財」、「闇献金」などは争われない。
【2】「土地購入」記載はある
これもよく「不記載だった」と報じられるが、きちんと記載されている。検察は「04年の報告書に不記載」といっているだけだ。
【3】「期ずれ」もない?
小沢氏の資金管理団体、陸山会が土地の所有権を取得したのは2005年であり、2004年には「仮登記」しただけ。だから陸山会は「05年に取得」と報告したが、検察は「契約は2004年だから2004年に報告すべきだった」とした。
【4】「4億円」は収支報告書に記載されている
これも報道で誤解している国民が多いが、2004年の報告書には、収入欄にはっきりと「借入金 小澤一郎 4億円」と書かれている。問題にされているのは、いったん小沢氏が提供した4億円を、後に銀行借り入れに切り替えたことが記載されていないという点だ。小沢氏側は「他の政治家なら修正申告で済む問題」としている。
【5】そもそも「資金繰り」は記載しなくてよい
総務省政治資金課は本誌取材に、「一時的に用立てる仮受金などは政治資金収支報告書に記載する必要はない」と答えている。それは当然で、ほぼすべての議員は個人で事務所の資金を立て替えており(そうしなければ、献金が集まるまで秘書の給与も払えない)、報告書には記載していない。小沢氏は、そもそも個人資金で立て替えたことを記載する義務がなかった。
以上の事実から、いわゆる「陸山会問題」の争点とは、土地取引を「契約時に記載すべきか、所有権移転時にすべきか」という点と、「個人で立て替えた資金は記載する必要はなく、銀行から借り入れた時点で記載すべきだった」という点だけなのだ。これが総理を目指す政治家の政治生命を断つべき重大疑惑なのだろうか。
※週刊ポスト2010年10月22日号