北朝鮮の金正日総書記の後継者として、三男の正恩(ジョンウン)氏が確実視されている。ジャーナリストの惠谷治氏が、正恩氏の祖父である故・金日成国家主席と正恩氏の共通点を解説している。
【1】3代続く刈り上げの髪型
サイドと後ろの刈り上げを3代揃ってやっている。刈り上げた真意はわからないが、北朝鮮の男性の中でブームになっていたこともあります。金正日のパーマ姿を真似ようと流行ったことはあったが、パーマの値段は高いためそこまでのブームにはならなかったようです。
【2】若かりし日の金日成を意識した人民服
今の時代に人民服は北朝鮮でも珍しい。男性は人前ではスーツ姿か軍服というのが一般的で、そんな中で人民服姿でいるのは、若い頃着ていた金日成を意識してのことでしょう。指導者としてのイメージをつくっている。人民服の生地については特注のもので、良品を使っている可能性が高い。
【3】かっぷくいい姿は権力と富の象徴
金日成が権力を手にした際に富の象徴として、かっぷくのいい姿を見せるようになりました。かっぷくのいい人は伝統的に男前とされ、北朝鮮では痩せている人は冨や権力があるとは見られません。旨いものを食べ、肥満体型を見せるのは、金一族が豊かであることを人民に見せる意味合いがあります。
【4】表舞台に立たせた理由
父・金正日が1980年に表舞台に出た際には政治局員、中央軍事委員、党書記の3つの肩書を持っていました。そんな中で、正恩氏にはわずかな肩書しかありません。今回、左胸にバッジをつけ表舞台に出てきたのは金日成のように、正恩についても若いうちから表舞台に立たせ、内外に影響力を示すのが目的だと考えられます。
【5】早くも危惧される健康
身長は175センチ、体重は90キロほどあり、まさにメタボ体形といえるでしょう。金日成は心筋梗塞で急死、金正日は脳卒中で倒れたりしたことからも健康不安も持ち上がっています。また、身長を高く見せるためにシークレットブーツをはいて背を高く見せていると韓国では報じられています。
※週刊ポスト2010年10月22日号