FX(外国為替証拠金取引)で8億円を稼いだカリスマ主婦・池辺雪子氏が、現在の為替相場の見通しと、今後のFX戦略を解説する。
まず、池辺氏は現在の為替相場をどのように見ているのだろうか?
「今の円高の背景には、世界的な“通貨戦争”とでも呼べる状況があると考えています。自国通貨を安くさせたいという各国の思惑があり、その思惑がぶつかりあった結果、リスク回避から消去法的に円が買われているのでしょう」(池辺氏=以下同)
2010年に入ってからギリシャの財政危機が表面化して以降、ユーロ圏の経済成長は失速。また、米国でも景気の二番底懸念が広がっている。そうした状況を受け、ユーロ圏、米国ともに、景気を回復させるために、自国通貨安による輸出増大を狙っている。
そんな自国通貨安を目的とした“通貨戦争”が繰り広げられている中、経済政策の軸が定まらず、これまではっきりとした通貨政策も見られない日本の円が標的にされ円高を招いていた、というのが池辺氏の見解だ。
しかし、今後の展開となると、池辺氏は大方の専門家と違って、円安転換を予想している。
「ユーロ圏や米国の景気に対する懸念は、かなり相場に織り込まれていると思います。経済指標などで、よっぽどのネガティブなニュースが出ないと、相場への影響は限定的ではないでしょうか。一方、中東では、ラマダンと呼ばれる断食期間が終わり、オイルマネーが活発に動く可能性がある。そうなれば、ある程度の資金はドルにも流入するはずです。
また、国内に目を向ければ、菅直人首相の続投も決まり、今後は経済政策のスタンスもある程度明確になってきます。すると、財務省、日銀による為替介入への警戒感も、いま以上に強くなるはずです。したがって、私は70円台の円高は想定していません。足元の相場からはゆっくりと円安に向かい、一進一退を繰り返しながら、年内には90円程度の円安まで戻ると見ています」
こうした相場展開を前提とすると、当面のFXのトレード戦術は、「細かい利食い」が基本になるという。利益を確定するレベルや損切りをするレベルを、通常よりも狭く設定して取引回数を増やし、コツコツ利益を積み上げていくというわけだ。
具体的な手法としては、「RSI」(相対力指数)などのテクニカル指標を使って、相場の“売られすぎ、買われすぎ”の水準を見極め、そこからの反転を狙ってポジションをとるなどの方法が挙げられる。
「当面は、売りからでも買いからでも利益を出せるように、短期売買中心でトレードするのがよいでしょう」
※マネーポスト2010年11月号