10月1日夜、東京発岡山行き新幹線のぞみのグリーン車に、白いジャケット姿の姫井由美子・参院議員が颯爽と乗り込んできた。姫井センセイはカバンの中からおもむろに経典らしきものを取り出すと、靴を脱いで座席に正座し、小声でお経を唱え始めたのだ。手には数珠も持っている。
静かなグリーン車両に、センセイの声が朗々と響く。これが約30分間続き、車内には何ともいえぬ雰囲気が漂った。ただでさえ注目されていただけに乗客は興味津々。中腰で姫井氏の席を覗き込む人までいたが、姫井氏はまったく意に介さない。
乗り合わせた乗客は「気になって、眠りたくても眠れなかった」と困惑顔だった。
読経が終わると、姫井氏は満足げに経典をカバンにしまい、本を読み始めた。タイトルは『検察が危ない』(郷原信郎著)だった。
――新幹線でお経を読んでいましたよね。
「新幹線にはよく乗りますけど。そうだったかな、忘れました」
――あれは昔からやっているんですか?
「別に何もしてません」
――何を唱えていた?
「何もやってないと思うけど……。忘れました」
※週刊ポスト2010年10月22日号