10月2日に開かれた公明党の党大会でこんな一幕があった。開会を数分後に控えたロビー。喫煙所で顔を合わせたのは市川雄一・顧問と井上義久・幹事長。市川氏が切り出す。
「レッドカードってのは、今も生きてるの?」
先の参院選で、公明党執行部がキャッチフレーズに使った「菅政権にレッドカード」を指す。市川氏といえば、かつて新進党時代に小沢一郎氏と「一一コンビ」と称された「小沢派」だ。菅政権が倒れても、総選挙がなければ民主党政権は続く。小沢氏が実権を握れば市川氏の出番になる。
井上幹事長が、こちらも残念そうな表情をつくって応じる。「一応、生きてますよ」
井上氏は仙谷官房長官と親しいとされる。実弟が仙谷氏に世話になったといい、仙谷氏自身、「井上の弟は俺が助けてやったことがある。あいつは俺のいうことは聞く」と党内で披歴している。
市川、井上両氏は、それぞれ違う「思い人」を描いて、なかなか進まない民公協力に苦いたばこを吹かしたというわけ。
※週刊ポスト2010年10月22日号