昨今の患者たらい回しや増加する医療ミスの遠因ともいわれているのが、深刻な医師不足。憧れの職業についたはずの勤務医たちはどんな過酷な状況にあるのか。関東地方の大学病院に勤める18年目の心臓外科医・香川亮介医師(38・仮名)も、36時間連続勤務は当たり前のハードなドクターライフを送っている。
「当直などで土日が全部埋まることがあります。しかも、人手不足で現場を若手に任せざるをえない状況で、いざというときに備えてほぼ24時間365日間が待機状態です。何かあるとすぐ呼ばれるから遠出もできず、うかうかとお酒も飲めません。オフの時間でもオフでない状態が続き、まったく気が抜けません」(香川医師)
所属先の教授の命令により、全国の関連病院に2-3年ごとの転勤を繰り返す。現在までに関東、四国、九州などの病院勤務を経験したという。
収入面では、同年代に比べて実入りはよいものの、将来的には不安が大きいと香川医師は打ち明ける。
「大学病院での基本給は50-60万円で、大学病院以外の当直や外来を足すと手取りで月90万-100万円くらい。ただ、1年ごとに勤務先が変わることもあるので退職金がほとんどない。福利厚生もなく、ボーナスもほとんどもらっていないので、40才過ぎても年収1000万円ほどで、今後も増える見込みもない。
ぼくは独身なのでまだいいですが、結婚や子育てを考えると余裕はない。医師は裕福というイメージがあるでしょうが、それは一部の開業医だけなんです」
※女性セブン2010年10月28日号