経済アナリストの森永卓郎氏は、現在の円高を「円バブル」と見ており、「バブルは必ず崩壊する」ため「異常な円高がいつまでも続くことはありえない」という。では、この「円バブル」を逆手にとった投資法とは何か? 森永氏が解説する。
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本来、自国通貨が高いことはその国民、企業にとって悪いことではありませんが、問題は円が日本経済の実力以上に急速かつ行き過ぎてバブル化したことにあります。80年代後半、株や不動産で起こったのと同様のバブルが、いま為替で起こっているということです。
1985年から1990年までに、日本の株価は3倍、都市部の地価は4倍に急騰するバブルが現出しました。しかし、バブルが崩壊すると、日本は「失われた10年」と称される長期不況に陥りました。その傷跡はいまも癒えず、現在の日本の不動産価格は20年前の半値の水準です。
かつての株・不動産バブルの時に一番儲けたのは、それらが最高値をつけたタイミングで売り抜けて、いち早く現金に換えた人たちでした。
ならば、今回の円バブルでは、その逆をやればいい。円バブルの崩壊直前までに、節約して現金を貯めて、ピーク時にその現金を日本の金融資産に換える。そうすれば、最も大きな利益が出せるはずです。
円高の影響で、すでに日本の株や不動産の価格はもの凄く割安になっています。しかし、円バブルの崩壊と同時に、こうした日本の金融資産は間違いなく急激な上昇に転じます。
円を現金で持っている人は、今の円バブルに否応なく乗ってしまっているともいえるのです。何もしなければ、円バブル崩壊後に訪れるであろう悲劇に巻き込まれてしまいます。その一方、円バブルを逆手にとっていち早く行動した人は、もの凄く大きな果実を手にすることができるのです。
※マネーポスト2010年11月号