ビジネス

で、為替レートってどうやって決まるの?円高になる理由は?

 為替レートはどうやって決定されるのか。そのひとつに「国際金融・資本取引と為替需給の関係」が挙げられる。円高、円安要因となる「国境をまたがるお金の流れと為替の関係」について、外為どっとコム総研代表の植野大作氏が解説する。

******************************
 為替に限らず、世の中のあらゆるものの値段は需給で決まりますが、為替の場合はその全容が見えないため、需給分析で相場の動きを正確に読むのは不可能です。

 ただし、現実の為替取引の現場では、局所的に特定の参加者による売買の噂などが材料視されて、一時的にせよ為替相場に無視できない影響を及ぼす場面もあります。以下では、日本を巡る国際金融・資本取引のうち、部分的にある程度は把握できている主な項目について、円相場との関係を紹介します。

 いわゆる金融・資本取引のうち、まず日本人が扱うお金の流れで代表的なのは、対外証券投資と対外直接投資です。対外証券投資とは日本の居住者が外国の有価証券(株式や債券)を売買することで発生するお金の流れですが、一般に外国証券の買いは円売り外貨買いで円安要因、売りは外貨売却の円買い戻しで円高要因になります。主なプレイヤーは銀行、生損保、年金基金、投資信託、事業法人、個人などです。

 ただし、売買の担い手が、大手金融機関などの機関投資家である場合、現物と同時に先物の売買も複雑に絡めてリスク管理を行なっているほか、日本円を経由せずに外貨同士の決済で外国証券を売買することもあるため、実際の為替相場への影響を推し量るのは難しいといわれています。

 一方、対外直接投資とは、日本企業が外国企業を買収して自分の傘下に収めたり、海外に生産拠点や現地法人を作る目的で進出することを指します。外国企業の買収や海外進出は円安要因、外国企業の売却や海外からの撤退は円高要因です。

 また、為替環境が激変したときには日本政府が「為替介入」という形で外貨を売買することもあります。1990年代末期から2000年代初期に頻発した円売り介入は円安要因、1998年に実施されたことのある円買い介入は円高要因です。最近の急激な円高局面では、円売り介入が実施されています。

※マネーポスト2010年11月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン