珍味として、そして、漢方薬の原料として、絶滅寸前の動物が密輸され大量に消費されている中国の「希少動物」漁り。ジャーナリストの富坂聰氏が、中国の「闇市場」をレポートする。
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地元紙をめくっていると、時に<レッサーパンダを1キログラム=170元で食用に販売>(2007年11月6日付・新快報)といった驚愕の記事に接するが、実際に中国大陸に流れ込む野生動物の種類の豊富さと量の多さは驚愕の規模だという。
この問題を専門に調査した記者が解説する。
「食用以外に漢方薬としての需要がある東北虎(シベリアタイガー)の被害が最も深刻です。虎のほかにはチンチラやマンシュウアカジカ、麝香鹿、熊などがロシアから国境沿いに密輸されます。また、アフリカからはカバの牙やサイの角が大量に入ってきています。
東南アジアからは大蛇のボア、大トカゲ、センザンコウ、ワニ、孔雀。どれもワシントン条約違反になる動物がほとんどです。そして国内では、センザンコウやチベットカモシカ、そして別名『空飛ぶパンダ』と呼ばれるシロハラヒメハヤブサなど、国が『重点保護動物』に指定している動物まで狙われます。
これら違法取引の摘発事件は多く、2005~2008年に中国の税関、国境警備、森林公安が生きたまま保護した違法取引の動物の数はなんと7万8600匹。金額にして26億元(約320億円)に達したといいます」
※週刊ポスト2010年10月29日号