オピニオン誌・SAPIO11月10日号の特集は「世界のならず者国家 中国をギャフンと言わせる13の方法」。こんな特集を企画したのは、以下のような意図がある。
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よほど日本のマスコミは、中国の機嫌が直って嬉しかったらしい。朝日新聞は、菅直人と温家宝のASEM(アジア欧州会合)首脳会談を「悪化した日中関係が持ち直す機会となったのはよかった」と社説で安堵のため息をつき、あたかも尖閣問題は一件落着したかのように報じた。朝日だけではない、ほとんどのメディアが関係改善を歓迎。尖閣諸島の危急も中国リスクの切迫もすでに過去の話題のように扱っている。
だが、ちょっと待っていただきたい。そりゃ、こちらがもろ手で白旗を揚げたのだ。解決しないわけがない。レアアース輸出規制や現地日本人の拘束などさまざまな恫喝に戦々恐々とし、「話し合い」を求めた我が国首相が、わざわざ「偶然」を装ってまで許しを請うたのだ。
ご存知のとおり中国ネットでは「強い中国を示してやった。この国を誇りに思う」と完全勝利に沸き立っている。外交の場で、一度作った事象は既成事実化する。今後、中国は日本の弱腰をいいことに大手を振って領土簒奪の計を進めてくることだろう。すでに海外メディアは今回の件で、「日本に非あり」で片付いている。
ようは問題解決どころか事態はますます深刻化しているのだ。すり寄ることだけでは、中国と対等な関係すら築けない。硬軟自在の戦略こそ外交の要諦である。いまからでも遅くない。居丈高に増長する中国に対抗する「カード」を持つこと。さもなければ、次なる尖閣は「衝突」だけでは済まされない。
※SAPIO2010年11月10日号