尖閣事件の後、中国では反日デモの嵐が吹き荒れたが、日本会議専任研究員の江崎道朗氏はデモの正体と日本が取るべき対応についての意見を述べる。
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実は、反日運動組織の実際の構成員は決して多くない。反日運動を放置していいとは言わないが、例えば、デモなどは付き合いで1日だけ参加する者が多い。彼らは臨時で駆り出されているだけなのだ。私の推計では、全世界でも1000人もいればいいほうだと思う。
日本人がすべきことは、海外の反日運動を無批判に受け容れず、堂々と英語で日本の立場を主張することだ。慌てることはない、メディアが盛んに報じていても、実態は10人程度のデモだったりする。
極論すれば、「国際世論」など存在しないのだ。たとえば、世界中で戦後補償の問題を蒸し返した反日デモが展開されたとしよう。メディアを通じてそれらを知ると、日本が世界中から嫌われているような錯覚を起こす。そうした「国際世論」によってわが国の外交が歪められるのは大問題だ、と思う。
反日的な国際世論は中国がこれまで仕掛けてきた情報操作の結果意図的に作り出されたのであり、デモは日本の国内世論を慌てさせ、最終的には政治家を動かすための圧力、攻撃材料に過ぎない。デモの様子が報じられたからといって、慌てないことだ。
華人組織と連携している韓国や北朝鮮の組織も呼応することがある。すでに日韓基本条約で決着済みの補償問題にしても、さらにカネを日本から引き出すべく彼らは運動を行なう。
まんまと乗せられてしまったのが鳩山由紀夫前首相、仙谷由人官房長官だった。鳩山氏は首相在任中の今年1月、前出のマイク・ホンダ議員を首相公邸に招いた。この時、戦後問題を「順次やりたい」と語っている。そして日韓併合100年にあたり、首相談話を発表すべく動いた。菅内閣になってからはこの役目を仙谷氏が担い、首相談話の準備を主導した。情けない限りだ。反日キャンペーンに過剰反応し、「国際世論」を真に受ければ相手の思うつぼなのだ。
※SAPIO2010年11月10日号