一口に丼モノといっても、カツ丼、親子丼、鰻丼……と、多種多様。今回は、雑誌『料理王国』元編集長、土田美登世氏がセレクトした『札幌軒』(東京・文京区大塚)の「肉丼」を紹介します!
学生時代、ボリューミィで味の濃いものが食べたくなると、たまに選んでいたのがこの「肉丼」。店内の客ががっしりとした男たちばかりのときもあって、みんな肉丼をガツガツ食べていた。それもそのはず。実はこの丼はもともと、近所にある拓殖大学の運動部員たちにお腹いっぱい食べてもらおうと先代の主人が考案したものなのだ。レジにある相撲部の看板はその証である。
作り方はとてもシンプル。豚のこま切れ肉を玉ネギとニラとともに炒め、特製の甘辛いタレをかける。ご飯にのせ、ゴマをかけて仕上げ。これだけ。
庶民派の味だと思う。でも、複雑な味わいもあるから真似できそうでできないんだろうな。聞けば、チャーシューを煮込んだときの醤油タレを使っているのがポイントという。熱々のご飯の上に焼き肉をのせて食べると文句なしにうまい。そんな直球が体育会系丼にふさわしい。
■『札幌軒』の「肉丼」 690円(生卵付きは740円)
【住所】東京都文京区大塚1-4-10
【電話番号】03-3947-9225
【営業時間】11時-24時
【定休日】日
【カード】不可
東京メトロ・丸ノ内線茗荷谷駅すぐ。改札を出たら「肉丼」と書いた赤い旗が見えるのですぐわかる。オープン37年だが、今年2月に新築ビルの2階へ移転したばかり。もともとはラーメン店で「味噌ラーメン(740円)」などもあるが、客のほとんどは丼を注文。ニンニクたっぷりの「男の肉丼(790円)」ほか、「チューシュー丼(790円)」「ブーブー丼(740円)」がある。
撮影■河野公俊
※週刊ポスト2010年10月29日号