北朝鮮で9月28日に行われた朝鮮労働党代表者会でその姿を見せた金正日総書記の後継者・金正恩。そんな彼のための「神話作り」が今後展開されると説明するのは、産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏だ。
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北朝鮮では今後、「革命の血統」を継承する3代目世襲後継者として“金正恩神話”作りが展開される。そのためにはまず軍事的業績がなければならない。出てくるのは当然、軍事的冒険主義である。
金正恩は公式登場の前から「青年大将」と愛称されてきた。その象徴歌謡である「パルコルム(足どり)」は「ザックザック、ザクザクザク……」と部隊行進の歩みが主調になっている。 公開された写真に見る風貌も、それを意識した演出がありありだ。年輩の軍幹部の間に傲然と立ち、でっぷり太った大柄で、その表情は20代にしては不遜、不敵で生意気にも見える。
ヘアスタイルは刈り上げ頭、いやスポーツ刈りで戦闘的(?)だ。つまり「太っ腹で怖いもの知らずの大胆不敵」という人物像を、内外に印象付けるための政治心理学、情報心理学である。
※SAPIO2010年11月10日号