珍味として、そして、漢方薬の原料として、絶滅寸前の動物が密輸され大量に消費されている中国の「希少動物」漁り。ジャーナリストの富坂聰氏が、中国の「闇市場」をレポートする。
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珍しさを追求してゆけば当然のこと、国内的には国家保護動物という規制と、また対外的にはワシントン条約という壁と正面からぶつかることになる。
そのため取引は地下流通ルートを通じて行なわれ、食材の取引は基本的に予約制だ。だから動物たちが長い間市場に晒されることは少ない。地元メディアが必死に取引現場を狙うも、なかなかそれを捉える事ができずにいるのはそのためだ。
「国家として中国自身がこれを容認していることはありません。むしろ厳しく取り締まろうとしています。しかし、動物保護のために金と人をかけるという発想を広く国民が理解しているかと言えば、まったくそんなことはない。しかも貧困層の人々が、自分が生きていくために動物を獲ったり売買したりすることを躊躇うことなど絶無でしょう」(北京の国務院関係者)
この感覚の違いは、北京動物園の中に“野味レストラン”(2010年5月20日付・京華時報)という報道を見れば一目瞭然だ。
※週刊ポスト2010年10月29日号