尖閣諸島沖の漁船衝突事件を機に、ますますこじれているようにみえる日中関係。日本製品のボイコットを呼びかける反日デモまで起きているが、現地で聞いてみると、さまざまな分野で「メイド・イン・ジャパン」旋風が吹き荒れていた。
たとえば、北京では、カット料金15倍以上でも、日本人経営の美容院「ASAKURA」は1日100人以上が足を運ぶという。ちなみに通常の美容院は30元=約390円だが、ASAKURAでは480元=約6240円だ。
続いて人気なのが「食」である。中国に会社を持つ日本の会社社長は語る。
「今回デモが起きた内陸部の都市・成都にあるイトーヨーカドーは中国でもトップの売り上げ。特に食料品売り場は高級スーパーとして人気で、“日本のものは安心だから”という富裕層の人たちでにぎわっています。デモは一部の学生が参加しただけで、多くの市民は関心がなく、翌日からは普通に営業していましたよ」
スーパーのなかでひときわ人気を集めるのが日本産のりんごだ。中国は世界最大のりんごの生産国で、国民は大のりんご好き。しかし、中国産りんごは品質改良が遅れており、大量の農薬を使っているため、安全面でも味でも日本産に劣る。
中国産が1個1.5元(20円)に対し、日本産は1個100元(1300円) を超える“ぜいたく品”だが、それでも日本産は中国のリッチな人々にはよく売れている。対中りんご輸出の最大手・JCK社の斉藤青雲社長がいう。
「中国へのりんご輸出をはじめた2004年は数十トン程度でしたが、いまでは年間250トン(1250万個相当)に成長しました」
日本産りんごは贈答品として選ばれることが多い。上海にあるスーパーの地下食料品売り場を訪れた主婦(36才)はいう。「私も1箱558元(約7254円)の日本産りんごを5箱買ったばかり。最近、中国でいちばん喜ばれる贈り物は日本のりんごなんです」
また“デパ地下”のテイクアウト寿司は大繁盛。回転寿司市場では昨年、日本の『がってん寿司』が“高級グルメ寿司”としてオープンし、行列ができている。
寿司や刺身とともに好まれるのは「いいちこ」など日本の焼酎で、1杯30元(390円)ほどだ。
※女性セブン2010年11月4日号