日々、世界中で為替取引が行なわれているが、実際のところ、為替の市場規模はどれぐらいのものか。外為どっとコム総研の植野大作氏が解説する。
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為替の実務取引の現場では、多種多様なお金が毎日のように国境を跨って出入りを繰り返しており、時々刻々の為替相場は、それに伴い変化する円貨と外貨の総合的な需給を反映して動いています。
ひとくちに「国際資金移動」といっても、あまりにも金額が膨大で様々な取引が混在するため、その全容を正確に示す統計は世の中に存在していません。職業柄、お客様から「為替市場の規模はどのくらいですか」とよく聞かれますが、いつも「正確には分かっていません」と答えています。
最近では、国際決済銀行が今年4月に、53か国1309の金融機関等を抽出して調べた1日の為替平均出来高を発表していますが、それによると、当時の世界の為替出来高は1日3兆9810億ドル(当時の為替換算で約372兆円)、そのうちドルと円の相互取引は約14%の5680億ドル(同53.1兆円)でした。
今年4月のサンプル調査で「1日平均」の値がこれですから、もしも完全な全数調査で1年分を把握することが出来たら、市場規模は「ドル円取引」だけでも「兆円」では表示できずに「京円」単位に跳ね上がると思われます。ちなみに、この調査は3年に1度、4月だけに行なわれますが、発表される為替出来高は調査のたびに増えており、3年後に発表される次の調査では一段と膨張している可能性が高そうです。
要するに、「為替の市場規模は誰も正確に把握できないほど大きい」といって間違いありません。
※マネーポスト2010年11月号