国際情報

金正恩氏の祖父がかつて「力道山と腕相撲して勝った」の証言

 金日成氏、金正日氏につぐ北朝鮮総書記3代目と目されている金正恩(キム・ジョンウン)氏の母、高英姫(コ・ヨンヒ)氏。その父、つまり正恩氏の祖父・高太文(コ・テムン)氏は、日本名を高山州弘(くにひろ)といい、かつて大同山又道という名でプロレスラーとして活躍していた。大阪・鶴橋にある正恩氏のルーツを、ジャーナリストの山藤章一郎氏が追った――。

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 昭和30年代、日本はプロレスに湧いた。力道山のプロレスを見る人々が街頭テレビに群がった。

 高英姫の父・高太文は昭和31年、「東亜」を旗揚げした。リングネームは、平壌を流れる大同江(テドンガン)から採った大同山又道。

 大阪・鶴橋「金海道場」があったすぐそばの商店主の話。「太文さんは、家の前でいっつもベンチプレス挙げてな。上は裸、下はタイツ。すごい体してたで。子どもらが腕にぶらさげてもらう順番待ってな。『力道山と腕相撲して勝ったんや』というて。どこの家にもないカメラ持って、なんかいうと家族写真撮ってましたわ」

 だが、「大同山」高太文は対抗する「国際プロレス団」の木村政彦に敗れた。

「あれがきっかけで北朝鮮に帰るんです。娘の英姫は小学生で、御幸森のバレエ教室に通ってました。

 はっとするような別嬪さんやった。家ではいっつもチョゴリで。通ってた北鶴橋小学校の『ノノセ』先生いうたかな。家族はお慕いしとったんや。英姫に『かっちゃん』いう兄ちゃんがいましたんやが。

 そうや、思い出しました。太文の家が焼けてな。そのあと、あの家族を見た者が誰もいてません」(同前)

※週刊ポスト2010年11月5日号

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