生命にもかかわる問題とされてきたコレステロール値。「高めでもいい」って本当なの!?
現在、多くの医師が高コレステロール血症の診断基準に用いているのは「LDLコレステロール値(血液1dl中に含まれるコレステロールをmgで示した数値)が140以上」という日本動脈硬化学会による基準。
この数値を超えると動脈硬化による心筋梗塞などの病気の発症リスクが上がるとされ、何らかの対策を取るべきだとしている。
しかし、日本脂質栄養学会の新説はこの基準に真っ向から反論するもので、「LDLコレステロール値が140以上でも問題がない」と主張している。
「実際、LDLコレステロールが高くても健康な女性もたくさんいます」こう話すのは、日本脂質栄養学会の『長寿のためのコレステロールガイドライン』作成にたずさわった、ニコークリニック(佐賀県)の田中裕幸院長だ。
同クリニックでは血液検査だけでなく、首の脇の血管の厚みなどの画像から、動脈硬化の程度がわかる「頸動脈超音波検査(IMT)」を行っている。
「多角的に動脈硬化の程度を測定することによって血管の状況を把握し、薬による治療をするか、生活習慣の改善だけで様子を見るかを判断しています」(田中院長)
医療技術の進化により、同クリニックで行われているIMT検査のように実際に動脈硬化の程度が目で見てわかるようになってきた。 これまで多くの人たちの人間ドックにかかわってきた三井記念病院総合健診センターの山門實所長も、「血液検査の結果だけで一喜一憂すべきではない」との意見だ。
「IMTのほかにも、血液中の炎症の程度を見る『CRP検査』や、LDLコレステロールとHDLコレステロールの比を見る方法などもあります。こうしたさまざまな方法を総合して、治療するかどうかを検討することが大事です」(山門所長)
※女性セブン2010年11月11日号