駄菓子界のロングセラーにして、山梨県を代表する企業の一つ、よっちゃん食品工業会長・金井芳雄氏(77)はいまだに現役である。1933年、北海道に生まれた同氏は1963年に「よっちゃん食品工業」を創業。
「イカ」一筋に山梨県を本拠として…と会社HPの社長挨拶で語るほど、イカと山梨に深い愛情を注ぐ。
終戦後、金井氏は10代で「大映ニューフェイス」に合格するが、1週間で退社。その後、商売の道に進むが、商品は一風変わった物ばかり。価格の安い雄のヒヨコを油で揚げた「すずめ焼」、水道ホース製のフラフープ……。駄菓子の定番「よっちゃんイカ」も同じ発想で、タダ同然のゲソを仕入れてこれに甘辛く味付けしたところ大当たりした。
自身の金遣いは豪快そのもの。1975年、日本に3台しかなかったロールスロイス・コーニッシュ(2500万円)を購入し、車体に「よっちゃんイカ」のイラストを描いて街中を走らせ、自宅の床をガラス張りにして数百万円の鯉を何十匹も泳がせる。
※週刊ポスト2010年11月5日号