レアアースの禁輸などをちらつかせて日本を恫喝する中国。だが、実際に経済制裁に踏み込めば中国もただではすまないとジャーナリストの吉村麻奈氏は指摘する。
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日本経済の中国依存度は高いと言われるが、中国も日本製品無しには生きていけないのだ。 たとえば、中国が日本に依存している先端技術製品にはどんなものがあるのか。
「高機能の鋼板、高速鉄道の信号や保守技術、携帯の部品、高機能電子材料、電池、ハイテク繊維、建設機械、半導体製造関連に至るまで、いくらでもあります」というのは清華大学・野村総研中国研究センターの松野豊・副センター長。実際、中国はレアアースを使った製品も、自国で作れないので日本から多く輸入している。
「もちろん、実際には経済制裁の武器にはなりません」
仮に日本が中国の報復に対して経済的手段で対抗したとしても、それは中国国内の日系を含む外資系企業も大きな被害を受けてしまう。それは中国にとっても同じことで、やればやるほど双方が大きな傷を負う。しかし、傷を負って、どちらが先に回復するか、というと日本だろう。
松野氏が続ける。 「日本は、外交圧力にはめっぽう弱いけれども、経済制裁には意外と強い。1970年代のアメリカと繊維だの自動車だの、戦ってきたので経験豊富ですよ。たとえば省エネ技術とか、あの頃アメリカにいじめられたおかげで、日本は世界に冠たる技術国家になったんじゃないですかね」
※SAPIO2010年11月10日号