沖縄県の尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突してからまもなく2か月。国会に提出された約6分間のビデオの扱いをめぐり、「視聴しない方が面倒なことに巻き込まれなくていい」と中国に白旗を揚げたとも取れる発言をする与党側と「全面公開して政権の外交の滅茶苦茶ぶりを知らせるべき」とする野党の意見が交錯する。
石原慎太郎東京都知事は出演したテレビ番組で「海に転落した海保隊員をモリで突いていた」と政府関係者からの話を披露した。
「ビデオを視聴したのは、菅、仙谷、前原の3閣僚。ビデオを個別に時間を作って視聴した。ビデオには数回巡視船に体当たりする漁船の様子が映し出されている」(政治部記者)
尖閣諸島沖に近づいた中国漁船を追跡するシーン、中国語で求められた再三の停船命令を無視して、巡視船から逃れるためにスピードを加速して振り切ろうとする場面。さらに、速度を上げ巡視船に体当たりする映像も納まっており、故意にぶつけるつもりは明白。
しかしながら、議員たちのさまざまな思惑から、問題アリアリの尖閣ビデオの映像が国民の前に明かされる姿勢はまったくみられない。
※週刊ポスト2010年11月12日号