親孝行の方法を記した『親が死ぬまでにしたい55のこと』(親孝行実行委員会編・泰文堂刊)という本がヒットしている。「親孝行をしたくても、何をすればいいのかわからない」と考えている人がいかに多いかということだろう。
それでは親たちが「本当にされてみたい親孝行」とは一体何なのか。本誌は、子供を持つ70~80代の高齢者100人(男性50人・女性50人)に緊急アンケートを行なった。すると判明したのは、高齢者たちの意外な本音だった―。
〈息子・娘に親孝行をしてほしいと思いますか?〉という問いに対しては、「ぜひしてほしい」31%、「できればしてほしい」47%、「できればしてほしくない」6%、「必要ない」6%となった。78%の親たちが「してほしい」と回答している。やはり多くの親たちは、口には出さなくとも親孝行を望んでいる。
そして〈親孝行として望むこと〉については、複数回答可で答えてもらったところ、1位が「孫の顔を見せてもらうこと」で41%。以下、「たまに旅行に連れていってもらうこと」(33%)や、「誕生日など、節目節目でプレゼントをもらうこと」など、ささやかな願いや心配りが上位に並ぶ。多くの人が望んでいると思われた「同居」や「金銭的な援助」は、下位にとどまる結果となった。
さらに〈介護や身の回りの世話を頼むこと〉については、意外にも「業者に頼んでほしい」との声が7割を超えた。これらの結果は、子供に対する親たちの思いを如実に反映している。
「子供たちにはできるだけ面倒をかけたくない」(73歳女性)
「豪華なプレゼントなんて必要ない。電話をくれたり、はがきをくれたり、親のことを忘れていないと思わせてくれるのが一番うれしい」(78歳女性)
「この歳になっても娘から電話をもらえるとウキウキするね。誕生日や父の日のより“用事はないけど”って電話のほうが胸が熱くなる」(82歳男性)
「お盆とお正月に帰省してくれれば、あとは何も望まない」(79歳男性)
―アンケートでは、このような言葉が異口同音に浮かんできた。親孝行の第一歩は、やはりこまめな連絡のようだ。
※週刊ポスト2010年11月12日号