中国が尖閣問題で対日攻勢を強めているからといって、対中投資をすべて引き上げるといった対抗手段を実際にとることは不可能に近い。では一体どうすべきなのか。大前研一氏が「関係改善」の方法を提案する。
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対中関係で、現実的に日本に残された選択肢は「関係改善」だろう。その場合は、政府が外交チャンネルを使って裏で進めるしかないが、民主党には外交的なパイプもセンスもない。唯一、中国に太いパイプを持っていた小沢一郎・元幹事長が政治資金規正法違反罪で強制起訴されることになったので、その道も閉ざされてしまった。
となると、残る手立ては関係改善につながる前向きのプログラムで成果を出していくしかないだろう。具体的には、例えばお互いに観光産業を盛んにして、観光客を中国から500万人、日本からも500万人に増やすことを目標にする、といった政策だ。
私の見る限り、基本的に中国人は日本に憧れている。日本に来ると大半の人は安全・安心・快適で食事も旨い日本が好きになって帰っていく。
そういう細かいヒットをたくさん重ねるしか、関係改善を促進する方法はないと思う。 したたかな中国相手に一発逆転のホームランはない、と民主党政権は心得るべきだろう。
※SAPIO2010年11月10日号