中国のレアアース禁輸で経済界からは、悲鳴の声も聞こえた。だがその裏にはしたたかな計算があるとジャーナリストの吉村麻奈氏が分析する。
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それなりの戦略性を持つ大手企業は1年分くらいのレアアースの備蓄があるのは当たり前とも言い、本当はそこまで切羽詰まった状況ではない。では、日本産業界はなぜあんなに浮足だって騒いだのか。
対中資源輸入に強い商社関係者に問うと、「いや、本当は困っていない時でも、こういう時は騒ぐもんなんですよ。それがビジネスマンというものなんです。騒いでアピールしたからこそ、いままで無策だった重い腰の政府も資源外交に動いてくれたし、代替品の開発にも拍車がかかる。欧米にも対中危機意識が広まったので結果的にはよかったでしょう」。
中国市場で鍛えられた民間企業は、なかなかしたたかなようだ。
※SAPIO2010年11月10日号