北京の遊園地で踊る痩せたミッキーマウスやゆがんだ顔のドラえもん。露店などで堂々と売られるブランドバッグのコピー商品。そんな印象から中国を単なる「パクリ大国」と思っている読者も多いだろう。しかし、事態はさらに深刻化している。中国を相手にした知的財産権問題は「新たな局面」に入ってきた。ジャーナリストの中島恵氏が報告する。
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すでに「北海道」「愛知」などの都道府県名のほか、「秋葉原」「博多」などの地名も中国での「冒認出願」が確認されている。それによって、日本の地名を使った商品が出回ることになる。
冒認出願とは日本企業や日本の農産品などの商標が、第三者によって先に出願・登録されてしまうこと。中国の商標法では先に出願した者に商標権を与える「先願主義」を採用しているため、こうした問題が起きている
例えば、「北海道産ビスケット」は中国で売られているマレーシア産のものだ。地名の一部は出願の公告期間中だったため地方自治体などが異議申し立てを行なっているが、「富士山」などすでに正式に登録されたケースもある。
※SAPIO2010年11月10日号