本当に好きな仕事に就きたい! という若者に向けた適職探しガイドブック『やりたい仕事がある!』(小学館刊)。2005年に発売されて以来、ロングセラーを続ける本書を、この度大幅改訂を加えて発売した池上彰氏が、働きがいを得る仕事とはどういうものかを指南する。
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仕事の中には、うまくいけば、それなりの高収入を得られるものもありますが、その一方で、どんなに頑張っても、金銭的にはあまり期待できない種類の仕事もあります。でも、その仕事に就いている人たちには、「これが自分のやりたかった仕事だ」と、生き生きと働いている人もいるはずです。働くということは、お金だけが目的ではないということを、その人たちは教えてくれます。
「働きがい」という言葉があります。自分が働くことで、どこかの誰かが喜んでくれるとか、世のため、人のためになっているといったことです。もし、そうした働きがいが得られるのだとしたら、必ずしも高収入を得なくてもいいということになるはずです。もちろん、現在の仕事を続ける、会社で頑張るのも一つですが、転職も選択肢の一つです。あるいは、起業してもいいし、私のようにフリーランスになることもできるのです。
やりたい仕事があるなら、まずはその仕事ができる企業を探す。適当な企業が見つかれば、そこへの就職を目指して努力する。でも、就職できなかったり、適当な企業が見つからなかったりしたら……。そのときは、起業してみればいい。「起業なんてとても無理だ」と思われるかもしれません。でも考えてみてください。いま存在している会社はすべて、誰かが起業したものなのです。
※週刊ポスト2010年11月19日号