誰が呼んだか“食品安全の生き証人”。85才の増尾清さんに付けられたこの異名は、食品安全にかかわってきた40年の歴史を物語っている。食品問題研究家の増尾さんは、このほど『もう、体に毒は溜めない』(ワニブックス 1260円)を出版した。
「わが家は妻も83才。夫婦の長生きが、私たちが実践してきたことが正しかった証明でもあります。やってきたことはいたってシンプル。大雑把だけれども、長く続けることが大事なのです」
そんな増尾さんが心がけているのは、とにかくバランスよく食べること。それにはルールがあるという。長寿の増尾家で食べている食事を紹介してもらった。
朝は、パン食で、必ず食べるのがヨーグルト。昼は、麺類。夜だけは伝統的な日本食を作る。これはご飯とみそ汁、お漬物がまずワンセットで、主菜は肉か魚か卵のうちのどれか。副菜はファイトケミカル野菜と呼ばれる、枝豆、カリフラワー、かぼちゃ、きのこなどを。そして、もうひとつの副菜として、海藻やヌルヌル野菜、もしくは納豆や豆腐の大豆製品を。そして必須なのは、食後の日本茶。カテキンを含んでいるので、活性酸素を除く効果がある。
「これまで家内とよく食事のことでケンカしました。旬のものを出せとか、多品目食べさせろとか。でも毎日のことですから、続けられなくては意味がない。ですから、もう30年くらい、ずっと夜だけはきちんとしようと、このルールで妻に作ってもらった料理を食べています」
この増尾家のルールは、実は外食や居酒屋でも使える。
「とりあえずビール!」というのは理にかなっていて、ビールのホップと麦芽には抗酸化成分が含まれているので、飲みすぎない程度にほどほどに飲むのはいいそうだ。良質のたんぱく質の厚焼き卵を頼み、次は豆腐や納豆などの大豆料理、野菜はサラダで取り、小鉢は貝類やヌルヌル野菜、海藻やきのこの酢の物で。しめはご飯にみそ汁、最後は日本茶でしめる。
「居酒屋での肴の選び方について講演をしていると、お酒をよく飲む夫をお持ちの奥様がたからは“こういう飲み方、食べ方だったらいいですね。夫を説得してみます” という声が多く寄せられます。ちゃんと考えて料理を選んで飲むなら、そんなに大きな問題はないと思います。私も長年にわたって、毎日、軽く晩酌していますが、肝臓はまったく悪くないですよ」
※女性セブン2010年11月18日号