領土問題で中国やロシアに翻弄される菅政権。どのような政策がいま必要なのか。海洋問題に精通する山田吉彦・東海大学教授が提言する。
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領土問題に関して、日本はもっとしたたかになるべきだ。「したたか」とはつまり「相手の弱点をつく戦法をとる」ことに他ならない。
例えば竹島問題で対立する韓国に対しては、「鳥島」を開発したうえで、排他的経済水域の基点にするべきだと私は考える。
長崎県の鳥島は五島列島の南西に位置する総面積わずか50平方メートルほどの島で、ここを基点にすれば、日本は約3万6000平方メートルの海域を排他的経済水域として確保できる。
漁場が大きく減る韓国は「鳥島は岩だから排他的経済水域を有しない」などと言い出すかもしれないが、韓国は海面下に潜む暗礁の離於島に構築物を建てて領土だと主張し、中国との領有権を争っている国だ。これは国際的に見れば、まったくナンセンスな主張である。
「離於島はどうなんだ」と日本が主張すれば、韓国は反論のしようがない。
鳥島に船の着岸ができる桟橋をつくり、釣り人のために魚を放流し栽培漁業を行なうなど、経済生活といえる利用環境を着々と整える。できれば人間を居住させることが望ましい。
韓国がクレームをつけてきたら、そのときこそ国際海洋法条約をもとに、竹島を基点とした排他的経済水域の断念を求めればいいのである。
※週刊ポスト2010年11月19日号