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日本のサラリーマンはもっと経費を請求しても良いくらいだ

日本のサラリーマンは、源泉徴収制度のもと、ほとんど「必要経費」が認められず、税金は「取られるまま」となっている。立正大学法学部教授で、税理士でもある浦野広明氏が、海外の状況と比較しながら日本のサラリーマンが置かれている状況を解説する。

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日本は、建前上、「申告納税制度」を採っていることになっています。しかし現実には、日本の労働人口の多くを占めるサラリーマンにとっては、税金は「申告」というより、「天引き」されるものという実感が強いと思います。

自営業者の方は、税金は自ら申告するため、普段から「何が経費になるか」を意識しているものでしょう。が、サラリーマンの皆さんは「天引き」となってしまうため、税務上の“自分の経費”がいくらか、即答できる人は少ないと思います。

「給与所得者」つまりサラリーマンは、「給与所得控除」という形で経費が認められています。その額は、年収500万円の人で154万円、年収600万円の人で174万円などとなっています。スーツやカバンや靴など、会社員であることの経費はこれでまとめて「概算控除」してしまおう、という制度です。

しかし、これ以外の控除というと、年間10万円を超えた医療費や、住宅ローンに対する控除などだけで、現状ではほとんど経費は認められていないと言っていいでしょう。日本のサラリーマンは、もっと多くの控除が認められるべきなのです。

実際に海外では、多くのビジネスマンが様々な控除を利用して税務申告しています。  例えば、アメリカでは、日本のサラリーマンではほとんど認められない「自宅の家賃」が経費になります。自宅の家賃であっても仕事に使っていれば経費にできる。家で残業をしている人は、その部屋の分を申告したりするのです。

また、「自宅のパソコン代」「携帯電話代」なども、仕事で使用する割合が多ければ、控除対象になります。日本のサラリーマンは、仕事で使う携帯電話代も自腹というケースが多いでしょう。

日本では仕事でお世話になった人にお中元やお歳暮などを贈りますが、経費にはなりません。ところが、アメリカではギフトは仕事の一部という考え方から、「贈答品費」も相手1人あたり25ドルまで認められます。さらに、スポーツ観戦やナイトクラブなど「交際費」も、50%が控除できます。

他にも、共働き家庭などでは「ベビーシッター代」が経費として控除対象となる場合があります。

※SAPIO2010年11月24日号

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