尖閣ビデオ流出によって、菅政権の外交姿勢に対する国民の不満は頂点に達している。領土問題に取り組んできた原口一博・前総務大臣は、「民主党のレゾンデートル(存在価値)が問われている」という。原口氏を直撃した。
―官邸もマスコミもビデオ流出の犯人探しに躍起になっていたが、この状況をどう見ているか。
「あのビデオはいち早く政府が公開すべきもので、情報の開示が遅れること自体がおかしいんです。そもそも流出させた者を何の罪で起訴するのか。公務員の守秘義務違反というが、あのビデオの何を『守秘』したいのか。
まず政府が守秘したことの合理性を説明する必要があると思います。2001年に奄美沖で北朝鮮不審船が海保巡視船と交戦した事件が起きたときには、映像が出ていました。今回はそれとどう違うのか、理解できません」
―あなたが、ビデオを流出させた行為を「国家への反逆だ」と発言した、と報じた新聞もあるが。
「それは全く逆の趣旨で伝えられています。まず、『国家への反逆』といったのは私ではなく、同じ会合に出ていた鳩山前首相です。私はそれを受けて次のようにいいました。
これをビデオ流出という小さな問題にしたら絶対にいけない。もし役所がやったとすれば、確かに国家への反逆に近い。しかし問題は、なぜそこに向かわせたのかということだ、と。
つまり、問題は『誰が流したか』ではなく、『なぜ情報を公開できなかったのか』ということです。いち早く情報を公開し、『領土問題は絶対に存在しないのだ』というメッセージを世界にしっかり伝えるべきでした」
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号