現内閣による「小沢封じ」は我々の身近なところにも迫っているという。都内に住む40代の会社部長の話はこうだ。
この夏、部長は自宅の建て替えを計画し、地元の金融機関に10年ローンを申し込んだ。数千万円に上る計画であったが、地域でも有名な資産家だけに、金融機関は二つ返事で応じた。
審査・手続きには何の問題もなく、さていよいよ契約書に印を捺すという寸前になって、金融機関の役員の訪問を受けた。役員は「契約できない」と言い出した。もちろん部長は納得できない。担保は十分に差し出しているし、収入もある。問い詰める部長に対し、役員は「担保、返済能力、手続きには何ら問題はない」と認めた。しかし、なぜローンが下りないかは、言を左右して、なかなか話さない。ついに怒りを爆発させた部長に気圧された役員は、ようやくこう告白したのである。
「最終審査で、あなたが小沢一郎さんの地域後援会の幹部をなさっていることが問題視されまして……。私どもも政治的な誤解を受けることに憶病でして、こういう形でお断わりするのは決して良いこととは思っておりませんが、私どもも弱い立場です。お察しください。申し訳ありません」
それっきり、だんまりを決め込み、深々と頭を下げて帰って行った。
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号