我が国で、この「中国の次なる指導者」の人物像について鋭く迫った報道は数少ない。なぜなら、中国でも彼は数年前まで「ダークホース」とされ、ましてや日本人にとっては無名に近い存在だったからだ。日本で唯一の研究書である『習近平の正体』(小社刊)の著者・茅沢勤氏が、13億人の頂点に立つ男の「急所」を鋭く指摘する。
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「習近平副主席の話は真面目すぎて、本当につまらない。もっと、美人の奥さんのエピソードとかを入れて、くだけた話をすればいいのに…」 こうぼやくのは北京の中国共産党幹部だ。
習氏は高級幹部を養成する中央党校の校長も兼務していることから、毎年全国の有力幹部を集めて講話を発表するのだが、この幹部は習氏の話があまりにも面白みに欠けるというのだ。
例えば次のようなものだ。 「権力は人民のために用いてこそ有用なのであって、自分のために用いれば、それは腐敗と化す」
「若い幹部は酒と色、金に注意しなければならない。幹部は権力を人民のために用いてこそ、その存在価値があるのであって、人民を忘れた時には犯罪者となりかねない」
冒頭の幹部を含め、習氏をよく知る人物による評は、 「権力には淡泊で、自らが権力を行使するというより、権力を使って人々に尽くすことが重要という思想の持ち主」というものが多い。
※SAPIO2010年11月24日号