中国で大学生といえばエリートのはずなのだが、そのエリートたちが狂ったように「反日」を叫ぶ。その背景には、中国で拡大する「貧富の格差」問題があるとジャーナリストの吉村麻奈氏は指摘する。
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北京では毎月数百元の生活費でしのぐつましい学生が全体の3割前後いるとされる一方で、リッチな学生も増えているようだ。
たとえば「車族」と呼ばれるマイカー通学の学生である。数こそ多くないが、彼らの維持費(ガソリン代や駐車代など)は、軽く貧困学生たちの生活費分を凌駕する。
北京晨報(10月18日付)の車族学生の特集記事では、「大学2年のときに免許をとって、親に13万元(約160万円)のフォルクスワーゲンを買ってもらって、最近、35万元(約430万円)のフォルクスワーゲンCCに買い替えてもらった。僕の友達にも4、5人、車を持っている奴はいるし、中にはBMWに乗っている奴もいる」といった北京城市大学3年生の発言が紹介されていた。
親が寮住まいをさせるくらいなら、実家から通って欲しいと思い、買い与えたという。リッチな学生の中には都市部在住の富二代、つまり親が金持ちで貧乏を知らない世代も少なくない。たいていは党幹部や政府幹部、大企業幹部の子弟である彼らは、豊かで充実したキャンパスライフを送った後は、コネで有名企業に就職、あるいは親・親戚から資金を得て起業、あるいは海外に留学というコースが用意されている。
「リッチ学生にはいつも取り巻きがおり、クラブやバーを借り切って誕生日パーティをやるなど派手な遊びをしている」(同紙)ともいい、キャンパス内に別世界があるようなものなのだ。
※SAPIO2010年11月24日号