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原口前大臣「菅首相の始めに日ロ首脳会談ありきは順番が逆だ」

尖閣問題にロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問を許すなど失態続きの菅政権だが、原口一博・前総務大臣は菅首相に進言を行なったという。原口氏に真意を聞いた。

―漁船事件は、民主党代表選を経てまさに第二次菅政権に移るタイミングで起きた。政府側の対応に影響はあったのか。

「漁船事件が起きた当時は私もまだ閣内にいましたが、積み上げてきたものを壊させないという方向に向いていたはずです。9月の代表選後の菅政権がそれに急ブレーキをかけたのはなぜなのか。現政権はまずその説明をすべきです」

―菅政権はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で日中首脳会談、日ロ首脳会談を実現させることしか頭にないように見えた。

「私には、なぜいま日本側が求める形で日中、日ロの首脳会談をやらなければいけないのかがわからない。こちらからハイレベル協議を求めるのは、こちらが悪いことをしたときの話。

日本がAPECの議長国だとしても、『来られても、会いません』という選択肢だってある。実際に会談をやるかどうかは別として、もし『何がなんでも会わなきゃいけない』『何が何でも成功させなきゃいけない』と考えているとしたら、順番が逆です」

―菅首相にはどんな進言を?

「11月5日、ロシア上院の副議長が『日本側の過剰な反応に非常に驚いている。上院は大統領が北方領土の他の島を訪問することを支持する』と発言した。APEC後に歯舞に行くというサインです。私はこの発言をすぐに政府に伝え、菅さんに『歯舞に行かれたら、それこそ政権どころの話じゃない』と進言しました。

副議長の発言はいわば“観測気球”です。議長発言では引き下がれないが、副議長がいうことで、『自分たちはここまでやるが、大丈夫か?』とこちらの反応を窺っている。こちらが明確な答えを出さなければ、『認めたんですね』ということになる。

すぐに『とんでもない』といわなければいけないのに、政府からのリアクションはまったくありません。行動が遅すぎます」

―なぜ行動しないのか。

「ロシアからのサインを見逃し、戦略を見誤っているのでは? ロシアは07年頃から段階的に北方領土をロシア化し、実効支配の深化を戦略的にやってきている。大統領の訪問もその一環ですし、副議長の発言は明確なメッセージです」

―あなたは菅首相に対し、日ロ首脳会談を国後島で行なうべきだと進言したとも報じられているが。

「ええ、そういいました。小泉さんの支持率が上がったのは、平壌に乗り込んだから。まず総理が行動しなければいけない。これまでビザなし交流で、日本の国務大臣は北方領土に行っていますから、ロシア側が断わる理由はどこにもありません。

1993年の東京宣言でも、2001年のイルクーツク宣言でも、日ロ両国は4島の帰属問題を解決して平和条約を締結することを確認している。これまでのルールをもう一度確認するために、ロシアの大統領が北方領土に行ったのなら、日本の首相も行かなければいけない」

※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号

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