日本には現在147万人の資産1億円以上の富裕層がいる。「国民83人に一人」という市場規模はアジア1位。その資産は金融危機前を上回る水準にまで回復しているという。国の消費市場に大きな影響を与える彼らの「行動特性」とはいかなるものか―その「秘密の扉」を開けてみた。
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お金持ちだけが味わえる極上の世界―その象徴としてファーストクラスを思い浮かべる人は多い。国際線CAを経験し、現在は・人財育成コンサルタント・として活躍する美月あきこさんがいう。
「飛行機のファーストクラスは、300席の場合だと9席というのが一般的です。この数は全体の席数の3%程度。国内における富裕層人口は約2%なので、その比率とほぼ同じになる。その乗客は、富裕層市場の縮図ともいえます」
乗客の職種は、マイレージ利用などを除き、ある種の傾向を持つという。「個人でチケット代金を支払う乗客のほとんどは、起業家や医師といった限られた職種の方々です。大企業の経営者はあまり見かけません」(同)
高額納税者として想像されがちな弁護士、会計士なども、そこにはいない。富裕層研究の第一人者で、『日本のお金持ち研究』の著書もある同志社大学経済学部・橘木俊詔教授が解説する。
「日本の高額納税者の3割は企業家で、医師が1割半で続く。そしてサラリーマン経営者ではなくベンチャー、医師も勤務医ではなく開業医が中心。要は会社や病院など組織の利益が自らの収入に直結する人が富裕層市場を形成しています」
弁護士などの専門職は全体の1割に満たないという。
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号