権力が暴走を始めれば、一般国民も標的になる。5000億円を超える税金が注ぎ込まれた無駄な公共事業の象徴、八ッ場ダムの見直し問題では、馬淵澄夫・国交相が「建設中止」の公約をあっさり撤回。役人や土建屋の利権を太らせるために、さらなる税金投入が確実になっている。菅政権は財界の歓心を買うために法人税減税を申し出たが、同時に一部の法人優遇税制の見直しを検討すると、米倉弘昌・経団連会長に「もう結構です」と居直られ、すっかり腰砕けになった。
すると菅政権は、なんと「第3のビールへの増税」と「サラリーマン増税」(控除見直し)で国民生活にそのツケを回すことを検討し始めたのだ。おまけに「新聞代は無税」というのだから、もうこの政権の正体はすっかり暴かれた。
政権の要である仙谷由人・官房長官は、尖閣ビデオ流出に怒って「秘密保持法を作る」と息巻いている。“人権派弁護士”として売り出した経歴との落差にも驚くが、何より自分の権力が、国家機密を悪用し、人権を蹂躙して成り立っていることに思いが至らないなら、隣国の独裁者ファミリーと同様の恐ろしさを感じる。
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号