財政危機と言われる日本。財務省はしきりに財政危機を訴え、菅直人首相の「消費税増税」発言も財務省の影響だと言われている。だが、経済アナリストの菊池英博氏は、財政危機は「壮大な虚構」で、むしろまだまだ日本には財源がたくさんあると指摘する。
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民間に投資を促すために、まず必要なのは財政出動だ。財政赤字で債務国でありながら、クリントンは財政出動をためらわなかった。歳出総額を前年比で毎年3・2%(年平均)、8年間の累計で26%増加させ、投資項目に予算を集中した。
日本も緊急補正予算を組んで3年間で100兆円の積極財政を行なうべきだ。このうち毎年25兆円を政府投資に当て、残り10兆円を民間に対する投資減税枠にする。「クリントン・モデル」を踏襲してこの案では名目成長率3~5%程度、10兆~15兆円程度の税収増が見込める。
財源は十分にある。「日本は財政危機」という扇動も、増税を目論む財務省の“壮大な虚構”なのだ。
財務省が公表する国の総借入である「粗債務」は09年末で872兆円。だが、日本政府には多額の金融資産がある。「粗債務」から社会保障基金、内外投融資等、外貨準備を合わせた513兆円を控除した「純債務」は359兆円だ。
日本は世界最大の債権国でもある。昨年末で官民合わせて対外債権を267兆円保有し、この利息や配当が年10兆~15兆円ある。特別会計の積立金と剰余金の合計、いわゆる埋蔵金は50兆円を超す。これに国民の預貯金の純増分10兆円や外為特会を利用すれば、財政出動の財源は十分にある。消費税を増税する必要はまったくないのである。
政府は国民を欺くことをやめて、元気づけるべきだ。
※SAPIO2010年11月24日号