環境省の調べによると、今年4月から9月末までのクマによる人身被害の件数は、全国で82件、被害者数は84人。昨年(1年間)の52件、64人をすでに上回っており、11月にはいっても、クマに襲われたというニュースは後を絶たない。
森林の生物多様性に関する研究を行っている東京農工大学助教の小池伸介さんは、こう話す。
「クマが冬眠する11月末までは出てくる可能性があります。冬眠中にクマは子供を産むこともあり、冬眠までに夏の体重の1.3倍くらい体重を増やすため、必死で餌を探しているわけです。でも、食べ物が少ない年は早く冬眠にはいる傾向があるので、今年も早く寝てくれるといいのですが」。
かつては里山などの森林は人が手をかけて管理していたが、現在では山村地域の過疎化や高齢化が進み、自然環境の変化で人里と森の区切りがあいまいになってきており、クマも本来の生息地を離れ、人里近くにまでやってくるようになった。
「秋はキノコや山菜採りなどで山にはいる機会もありますが、山はクマの生息地。クマが出てきても不思議はありません。あらかじめ地元の目撃情報などで情報収集を怠らず、クマ撃退用スプレーなど自分を守るグッズも用意して出かけるのがおすすめです」
クマは母性愛が強い動物。子供のうちは母親といっしょに行動するが、子連れのクマは普段より攻撃的になるので、特に注意だ。
※女性セブン2010年12月2日号