沈静化の兆しが一向に見えない中国の反日デモ。ついには「収回琉球、解放沖縄」なるプラカードまで出始めた。もはや彼らは“尖閣諸島は陥落した”と思っているのかもしれない。そして中国が次に狙っているのは沖縄だと、コラムニストの勝谷誠彦氏は指摘する。
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支那の「沖縄領有論」は支那国内の権力闘争と相まって、これから10年の間に必ず本格化するだろう。そしてそれに対抗するには「論」ではない。「論」がどれほど無力なのか私たちはそろそろ気づいたらどうか。北方領土と竹島を火事場泥棒で盗まれ、そのあと地図を書き換えるような卑劣な行為で韓国は竹島をオノレの領土だと言っている。「やったもの勝ち」なのだ。そしてその背後にあるのは軍事力以外にない。
ただし。無人島であった竹島やロシア人が勝手に住み着いていた北方領土とは違い、沖縄は私たちの同胞がいまなお住み暮らす地だ。この違いは大きい。沖縄の人々の心をどれだけ「ヤマト」がきちんとつかんでいられるかが重要だ。そしてそれは実は極めて危うい。普天間基地の問題などは日米間の安全保障だけではなく「いかに沖縄の人々に日本国を愛してもらえるか」という試金石だと思わなくてはならない。
ヤマトの人間は沖縄の人々に対して大変な「借り」があると私は思っている。大田實海軍中将の「沖縄県民斯ク戦ヘリ県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」という言葉がありながら、戦後の保守政権はずっと沖縄を利権の食い物にしてきた。いや、沖縄の人々の中でも食い物にする連中とされる人々がいたわけである。これこそ支那のまさにつけこむところであろう。利権とカネを扱わせれば奴らは世界一だ。気がつくとそこここに楔を打ち込まれてまずは利権的に沖縄があちらのものになっているに違いない。
軍事的には私はかねてから言っていることだが、南シナ海、東シナ海を「日本海」にすることだ。そのためには原子力潜水艦を持つことに尽きる。長期間の連続潜航が可能な原潜は支那にとって決定的な脅威となる。核ミサイル、核爆弾と違い、原子炉を動力として用いるだけの原潜は「核兵器」ではない。憲法にも非核三原則にも反しない。本来は持とうと思えばいつでも持てるのだ。そしてフィリピン、マレーシア、ベトナムといった海洋アジア諸国の基地にたまに寄港させてもらう。それこそ「思いやり予算」を払ってもいい。いずれも古代から中華の膨張主義と闘ってきた国々である。それらとあらたな「大東亜共栄圏」を手に手をとりあって築くのだ。
支那と朝鮮はアジアではない。あれは中華とその下請けだ。そうではない真のアジアと手をとりあうための、沖縄は大切な接着剤だ。そう思えば支那の手出しも逆に愉しいと思えるのである。
※SAPIO2010年11月24日号