日本には現在147万人の資産1億円以上の富裕層がいる。国の消費市場に大きな影響を与える彼ら。では、「お金持ち」になれば、人生バラ色なのだろうか――。
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「お金持ち」になれば、人生バラ色かといえばそうでもない。年収1億円を稼ぐ富裕層でさえ劣等感を抱く。
富裕層研究の第一人者で、『日本のお金持ち研究』の著書もある同志社大学経済学部・橘木俊詔教授の調査によると、開業医を最も輩出しているのが東京医科大、日大の両大学。そこに弘前大、三重大、新潟大などが続く。
「医師免許を取るには、必ずしも高偏差値の大学に合格する必要はありません。開業医として独立するのは、名門大学を避けた医師が圧倒的に多い」(橘木教授)
高学歴が出世の条件だった往時の企業社会ならともかく、現代ビジネスに学歴は関係なくなってきている。
「特に起業家にとって学歴は何の意味も持たない。富裕層を対象にしたアンケートで、“経済的成功を収めるためにしてはならないこと”の1位が“一流大に行く”という結果だったこともあります」(同)
一方で、それと矛盾するような調査結果がある。『プレジデント』(2008年10月13日号)が年収1000万以上の高所得者に「わが子を入れたい大学」を調査したところ、1位東大、2位京大、3位慶応、4位早稲田と続いた。
自らは高学歴でなくとも子息は名門大学に入学させたい―というのが親の本音のようだ。橘木教授は語る。「名門大学には付属からエスカレーターであがってきた名家出身の子息が多い。ハイクラス人脈と交流することで、所作や教養を我が子にも身につけてほしいという思いがある。一代で財を築いた“お金持ち”特有のコンプレックスです」
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号