急成長の陰で、様々な矛盾を内包する中国。特に、政権の存立基盤を覆すほど大きな問題に発展しかねないのが「民主化圧力」だ。かつて天安門事件のスクープ報道で脚光を浴びた国際教養大学教授のウィリー・ラム氏は、習近平氏はこの「大きな爆弾」を抱え込んでスタートする、と指摘する。
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指導者となった習氏が安定した政権運営をできるかどうかは極めて疑問だ。
まず、国内外からの「民主化圧力」にどう対処するかが大きな懸念となる。今年のノーベル平和賞に、中国の反体制民主化運動指導者・劉暁波氏が選ばれたことは記憶に新しいが、国内的にも国際的にも、民主化を求める圧力は年々高まっている。
昨年のノーベル平和賞受賞者であるオバマ米大統領は、劉氏の受賞を歓迎するとともに、「国家政権転覆扇動罪」で懲役11年の刑に服している劉氏の即時釈放を強く求めた。さらに、「すべての男女、子供の基本的な人権が尊重されなければならない」と強調して、中国政府に民主化改革の実行を要求しているほどだ。
中国国内でも劉氏の受賞をきっかけに、故・毛沢東主席の元秘書の李鋭氏ら中国共産党の元幹部ら23人が中国の民主改革を求める公開書簡を発表。これに対して、10月中旬までで約470人の識者が賛同の署名を行ない、来年春の全人代までに1万人に達するとの見通しも出ている。中国では今後、活火山のマグマのように、民主化運動が火を噴くことが考えられる。
(翻訳・構成/相馬勝)
※SAPIO2010年11月24日号