“富裕層”のアイコンとして最大の威力を発揮するのがフェラーリだ。1台最低2500万円ともなればなおさらだが、所有するに至って様々な思惑もあるという。
中古車販売などを主な事業とする、オートトレーディングルフトジャパンの南原竜樹社長が証言する。「都内高級マンションでは、フェラーリの新型が発売されると翌朝には駐車場に10台ぐらい並んでいる。所有者にとって車よりも新型という“プレミア”を手にすることが重要なのです」
フェラーリは、「移動」の手段というより「セルフプロデュース」の側面が強い、と南原氏は言葉を繋ぐ。
「スポーツカー全盛時代を知る現在40歳前後のベンチャー起業家にとっては、フェラーリは自らの成功を意味するシンボルなのです。さらに、青春時代に抱いた志を忘れないためのポリシーでもあります」
フェラーリを次のステージに進むための「切符」と捉える人間もいる。「初対面の人間に警戒心を抱く富裕層は非常に多い。でも、フェラーリを所有するオーナー同士なら自然と話があうから、親しくなれる。輸入ディーラーなどが声をかける“オーナー会”などで、異業種との交流を深めているようです」
※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号