マツコ・デラックス(38)やミッツ・マングローブ(35)といった女装家がテレビで活躍する空前のおネエブーム。テレビで見るだけのブームだと思っていたが、この「女装」がいま巷で話題となっている。
都内に本店を構える女装メイクルーム&サロンは、週末ともなると20代~60代の多くの男性が来店する。フロアにはランジェリーからウイッグ、化粧品、靴、トレンドを意識した洋服がずらりと並ぶ。「ぼく、案外美人ですよ?」というのは、すらりと伸びた手足が印象的な向井理似のイケメンくん。
「ファッションを追求するならレディースのほうが断然面白い。アイテム数も素材も色も。それに長身であれば、小柄な女性よりずっと上手にインポート物を着こなせますし。きれいになりたいとか、女に負けたくないって気持ちも出てきます。それに、女性に称賛されるといい気にもなる」
このイケメンくんはそう話すが、それは決して少数派ではない。だって世界で名の知られている美を追究するスペシャリストの多くは、男性だったりするのだから。その一方で、まったく違う理由で女装する男性もいる。23歳の会社員はこう話す。
「女性にモテる手段です。ぼくを見て、おもしろ半分で声をかけてくれたりするんです」
同性愛者を支えるNPO『すこたんソーシャルサービス』代表の伊藤悟さんはこう指摘する。
「草食男子という言葉が出てきたくらいから、男性は自分の立ち位置について混乱していると思うんです。“男は強くなくてはいけない”という定義に違和感がある人だっています。それでライフスタイルを変えようとした。スカートをはいてみたり、料理教室に通ったり、編み物をしたりするようになった。女装家が増えたことと無関係ではないと、ぼくは思いますね」
※女性セブン2010年12月9日号