「ID野球」で知られる野村克也氏のリーダー哲学を、論語とともに読み解いた『野村の実践「論語」』(小学館刊)。その中の言葉を野村氏自身が解説する。
* * *
【野村の言葉:「エースは鑑でないといけない」】
「岩隈久志は制球がいいし、なにより決め球のフォークがある。メジャーではフォークを投げるピッチャーは少ないから向こうで通用するだろう。しかし岩隈はエースかというと、本物のエースではなかった。
2ケタの勝ち星を挙げるからエース、ではない。チームの勝ち頭だからエース、でもない。監督訓示で選手を前に『あいつを見習え』と選手たちにいわれるようになればエースなんです。
岩隈には心構えが欠けていた。チームの中心人物は言動が個人主義であってはならない。常にチーム、仲間、組織を念頭に置く必要がある。それができなかった。だから私はエースや四番に厳しい苦言を呈したんです。 エースとは練習態度、自己管理法などすべての言動において模範となり、チームの鑑となる者をいうのです」
※週刊ポスト2010年12月10日号