民主党の代表戦後に挙党態勢を主張した菅グループのベテラン議員は、最近、支持率低下と反比例して菅首相に覇気が戻ってきたと見ている。
「総理はひそかに野党が仙谷氏の問責決議案を可決した後に官房長官を交代させるチャンスをうかがっている。政権は大黒柱を失うが、前原誠司・外相は仙谷氏とはっきり距離を置いているし、岡田幹事長はもともと仙谷氏とソリが合わない。2人の副長官も権力を失った仙谷氏にはついていかない。仙谷氏を交代させれば官邸は総理主導で回り始めるだろう」
その“政権奪回”の成否を握るのが、動き始めた小沢氏だというのだ。代表選では菅首相と小沢氏の議員票は「206対200」で互角だった。小沢支持派が政権批判を強める中、菅首相が党内基盤としてきた反小沢勢力の中心である仙谷氏を切り捨てることは、党内の勢力バランスが一気に逆転することを意味する。
「現実問題として、ここまで支持率が下がっているのに自民党との大連立や公明党との部分連合がうまくいくとは思えない。政権を保つには小沢排除路線を撤回して、例えば副総理に起用するような思い切った提案で協力を仰ぐしかない。代表選で小沢派切り崩しに動いた総理の若手側近たちは報復を恐れて反対するだろうが、この際、切り捨てるべきは保身に走る“側用人”たちの方だ」(ベテラン議員)
菅首相の最後のカードは、「仙谷追放」と「小沢副総理」という指摘である。
※週刊ポスト2010年12月10日号