更年期障害の諸症状を緩和するとして注目されているのが、ホルモン補充療法(HRT)だ。不足する女性ホルモンを薬で補う方法で、中村クリニック院長で婦人科医の中村理英子さんは自らがHRTの体験者。現在65才の中村院長は50才から3週間続け、1週間休むというペースでHRTを受けた。
「ストレスや過労で発汗、めまい、副鼻腔炎に苦しみ、HRTを選びました」。効果は絶大。すぐに各種症状は軽減したという。
「2週間程度で楽になる患者さんが多いのですが、私も同じくらいの期間で体調が戻ったんです。見た目もまったく違ってきました。特別な手入れもしていないのに、肌もツヤツヤしてきて。髪の毛にもはりが出てきました。HRTをやっていなければ髪ももっと薄くなっていたと思いますね」
中村院長は現在はHRTをやめているが、効果は持続しているという。
「数年前から始めた山登りは、いまだ現役。HRTが骨量、筋力の低下を防いでくれたからです。HRTをしていなかったら、これだけの骨量、筋力は残っていなかったと思います。体つきも痩せたというか、締まった感じ。いまだ20年前の服が着られるのです」
いいことずくめに思えるHRT。だが欧米では10%以上、北欧では20%以上といわれる普及率が、日本では2%程度だ。理由は副作用への不安と指摘されている。HRTは乳がん、子宮体がん、心筋梗塞などのリスクが高い、というデータもあるからだ。中村院長もこう指摘している。
「投与や乳がんや子宮体がんにつながる危険は否定できません」
とはいえ最近では、HRTは、量や治療期間を考慮すれば、副作用はほとんどないとする専門家もいる。たとえば乳がんの場合、HRT継続5年の発症率は1万人に8人というデータもある。
※女性セブン2010年12月9日号