スポーツ

野村克也氏 井川慶と福盛和男がメジャー行けたことに仰天する

「名将」の誉れ高い野村克也氏のリーダー哲学を、論語とともに読み解いた『野村の実践「論語」』(小学館刊)。その中の言葉を野村氏自身が解説する。

 * * *
【野村の言葉:「弱者の兵法は、謀(はかりごと)、計画、準備がないと成り立たない」】』

「自分は、弱い球団を渡り歩いて奇策をめぐらしてきたけれど、南海、ヤクルト、阪神、楽天、いずれも最下位になると私のところに監督要請をしてきた。弱者には弱者の戦い方があるが、いずれにしろ、中心なき組織は機能しない。

 だが、たとえば阪神には四番もエースもいなかった。ピッチャーの数も足りない。二軍監督の岡田彰布にいった。誰かいないのか。

『球が速いだけならいます』井川慶だった。一軍にあげた。人を育てるには自信をつけさせることしかない。最下位だった横浜戦で投げさせた。横浜には左も多い。鈴木尚典、佐伯貴弘駒田徳広、石井琢朗。左投手の井川には好都合だ。キャッチャーを呼んで、外角のストレートと決めたらミットを動かさず、的をつくるように命じたわけです。つまり〈的当て投法〉だ。

 負けてもいい、相手の名前や顔を見ないで、ミットを目がけて投げろ。井川は狙いどおり好投した。次の登板でも同じ〈的当て〉をやった。だが、打ちこまれた。人間、欲が出るんだね。

 こんなピッチャーが6年後はメジャーだから、驚いた。ポスティングで30億円というからもっと驚いた。楽天からレンジャースに行った福盛和男にも驚いたけどね。
 
 でもね、この〈的当て投法〉が弱者の兵法のひとつだったんです。弱者を自覚することから弱者の兵法が始まる」

※週刊ポスト2010年12月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン