おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれの元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著書に『ベイビーパッカーでいこう!』『魂の声 リストカットの少女たち』などがある。おぐに氏がアメリカにおけるペットの現在について綴る。
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調べてみて、驚いた。アメリカじゃ、ペットのトラは決して「ありえない」話じゃないのだ。マイケル・ジャクソンは2頭のトラを飼ってたというし、女優パリス・ヒルトンは、ラスベガスのカジノで勝った記念にトラを買ったそうな。
ある歌手の自慢のペットは数百万円もする珍種ホワイトタイガーだったらしいし、ボクサーのマイク・タイソンにいたっては、トラ相手にスパーリングしてた、なんて怖い話も。
別に今年が寅年でなくても、アメリカでは、トラの自宅飼いはセレブの証みたいなもんなのだ。確かに、日本の都市部にある小学校の運動場より広い庭を持つ、アメリカ郊外の大豪邸だったら、トラどころかライオンだってゾウだって飼えるかも。私の友人たちが「個人宅でトラ飼育」というニュースに怒りはしても、驚かなかったのは、「ペットトラ」の存在が珍しくないからなのね。
でも、そもそもトラなんて、素人が飼っていいの? 調べてみると、連邦政府は州境をまたいだトラ取引を規制できても、各州内で繁殖したトラまで規制する権限はないという。つまりすべては州任せだ。
ちなみに、トラの個人所有に一切の規制がない州は、ショービジネスの街ラスベガスのあるネバダ州など8州もある。一方で、人間がトラなど大型ネコ科動物に襲われたケースは、過去20年間で約600件にも上るんだって。
さすが、アメリカ。トラを飼うのも、飼いトラに襲われてケガするのも「自己責任」ってわけね。ああ、我が家のご近所がトラなんか飼ってませんように!
※週刊ポスト2010年12月10日号